人生経験豊富な人材が求められる

介護保険が始まった2000年以降は、バブル崩壊後でリストラが相次ぎ失業者が増える時代でした。そこに登場したのが新しい職場としての介護職でした。特に学校を卒業して就職難であったため、若い人たちは求人の多い介護系の職場に生活の道を求めていきました。日本の社会が急速に高齢社会に突入していく時期でしたから、体力のある若い人たちを職場は大歓迎で採用しました。

国は介護の専門職を養成するために、ホームヘルパーの養成機関を全国に設けて人材育成をはかります。ところが、これらは介護を求める利用者の日常生活のお世話をする、技術的なものが主体でした。介護を知るうちに体力だけでは埋められないものを感じるようになったのです。更に、弱者でもある介護者をめぐって虐待となるような社会問題も発生してきました。技術的な向上は必要ではありますが、それ以上に人生の先輩であるお年寄りの心の支えとなる接し方や会話が重要なものになってきたのです。

介護事業者においても、人手不足であった時代はホームヘルパーの修了証があれば採用をしていましたが、今は豊かな人間としての人柄や洞察力・情報分析能力なども見るようになってきたのです。そうして、チームケアの一員としての協調性も問われることとなります。こうしたことから介護職の仕事は、生活の経験や家庭を知る年代の活躍が期待されているのです。お年寄りの話し相手になるには、それ相応の体験者が適しているのです。